【レビュー】「アルゴリズムが世界を支配する」を読んだ感想。私達はどう生きるべきなのか?

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アルゴリズムが世界を支配する」という本を読んだ。

その本は過去を見返しつつ、現代においてアルゴリズムがいかに影響を与え、世界を支配してきたかということが解説されていて、とても興味深いものでした。

なぜ僕がこの本を読むに至ったかというと、ただ無性に勉強になる本が読みたかったという至極単純な理由なのだけど、それ以上に「アルゴリズム」と題していたという理由もあります。

プログラミングをする者としてアルゴリズムの歴史を知っておくことは有意義でありますが、それ以上にこの本は、コンピューターに支配されていく人類、という話題についても深く切り込んでいる著作です。

アルゴリズムの歴史を考えると、それはそれは昔から存在していたんだなと感心されられます。

まずは少しだけアルゴリズムについてお話しておきましょう。

 

そもそもアルゴリズムって何?

  • 0か1、YesかNoか、神か無の世界
  • 思考の単純化
  • 動作の一連の流れ

アルゴリズムって聞くとプログラミングの専門用語か聞こえます。実際のところプログラミングで取り扱うことが多いですが、それ以上に私たちは、日常生活で意識せずにアルゴリズムを使っています。

 

今日着る服はどれにするか、夕飯は何を食べるか、必要なものは何か。

例えば夕飯の案として、ラーメン、天丼、寿司があったとします。食べたいものを考えてみてください。きっとこんな感じで考えると思います。

  1. ラーメン → 今日は麺類の気分じゃないな
  2. 天丼 → 脂っこいものはちょっと
  3. 寿司 → 今の気分にピッタリだ

条件が甘いですが、このように状況や条件を考慮して答えを導き出す行為がアルゴリズムです。

ちなみにプログラミングで使われるアルゴリズムは「人間の思考の流れを文章化してコンピュータに指令を出すために書かれるコード」のことになります。

以上、アルゴリズムでした。ちなみに本書では、変数などを使って説明していました。

着る服のついて天候、風速、湿度などを条件としてアルゴリズム(人の思考)に渡し、どの上着を着ていくかという例えでした。興味ある人はのぞいてみてください。

というわけで本題です。

 

アルゴリズムの功罪

この本の主な題材は、アルゴリズムがどうやって私たちの生活を支配し始めたかということ。

アルゴリズムは非常に便利なツールだが、時にはシステムが人の手を大きく飛び越えて暴走を始めてしまう時もある。これについては後で述べることにしたいと思います。

個人的にはアルゴリズムの功罪は「思考の過程における楽しみがなくなる」ことだと考えています。

 

先ほどの例であげた、上着を選ぶアルゴリズムを考えてみてください。気温と天候、湿度をパソコンに打ち込んでボタンを押せば、クローゼットにある洋服(データベース)から最適な上着を選んでくれるというもの。

改良すれば勝手に条件を測定し、条件を打ち込む必要がなくなるかも知れません。

 

着るものを毎日考えなくてよくなるのは便利そうですが、そこに「洋服を選ぶ過程」がなくなるのは明らかです。オシャレをしたい時、勝負服を着たい時など、その日の天候ではなく、気分に合わせて洋服を着るライフスタイルがなくなるかもしれません。

それでは私たちの思考低下を引き起こしかねない。アルゴリズムを作る側は別ですが…。

アルゴリズムは確かに便利ですが、それを利用しすぎると今度は私たち自身が危なくなってしまいます。それに加えてアルゴリズムは正確ではあるが、決して絶対ではありません。

それをこれから説明していきます。

 

アルゴリズムは世界を席巻した

アルゴリズムはもともと数学の世界から出てきて考え方で、そのあとは金融業界、主には証券・債権取引などで利用されてきました。近年ではより広く利用されるようになり、心理学やポーカー、チェス、医療などの分野で利用され着実に効果を上げているのです。

金融業界ではピーターフィーというエンジニア上がりの投資家が、始めてアルゴリズムを利用した投資システムを開発し、それをきっかけにウォール・ストリートの巨大な投資銀行などで一気に新型アルゴリズムの研究・開発競争が始まりました。

なぜか?

 

それは投資という分野で利益を最大にすると同時に、取引によるリスクを軽減するため、高速に数多くの取引を行わなくてはならないからです。私たちの感覚で言えば、株が300円値上がったから売ろう、かも知れません。

しかし巨額な資金をつぎ込んでいる投資銀行は、0.1ドルでも値上がりしたら売りなのです。

細かい取引を数多く繰り返し、最終的な勝率を51%に持っていくのがウォール・ストリート流といえます。そこで出てきたのがアルゴリズムという最終兵器だったのです。アルゴリズムは人間よりも正確に、そして超高速な動作を行うことができます。

アルゴリズムの特性は、あらかじめ指定された行為をひたすらに続けることですから、株の取引のような機械的な作業にはうってつけだったのです。

ウォール・ストリートは、こぞって各大学の超優秀なエンジニアを潤沢な資金で雇い始めるようになります。

そこで生まれたのがクオンツという職業でした。

 

金融工学とプログラミングの混血、「魔術の子」が産声を上げた瞬間でした。

当時はまだブラック=ショールズ・モデルが確立されたばかりの時代だったので、難解な公式ながら金融における最適なポジションが導き出されるブラック・ショールズモデルを、最大限に利用できるアルゴリズムを組み上げるのが彼らクオンツの仕事となったわけです。

いや、むしろ逆にブラックショールズモデルを理解するために雇われたのがクオンツという職業なのかもしれません。

金融の仕組みをもっと知りたい人は、黒木亮さんの「巨大投資銀行」という小説がオススメです。

そんなこんなでアルゴリズムを利用した取引は、世界でもメジャーになり瞬く間に世界中で使われるようになります。しかし、そこには想像もつかない落とし穴がありました。

人の手によって作られたアルゴリズムが、創った人の手を大きく超えて暴れ始めるという現象です。

エヴァンゲリオンのエヴァのように。

 

例えばプログラミングで「ある株の10%が値下げしたらリスク回避で売る」というアクションがインプットされていたとします。

この時にもし、その企業の業績が悪くなり、株が10%も値下りしたらどうなるでしょうか?想像に容易いですね。各企業のシステムが超高速で取引を行っているので、売りが売りを呼んで雪崩のように株価が一気に下がるでしょう。

この売りがある一線を越えると、世界に波及してしまう。

大きな企業が大量に、しかも超高速で取引をするが故に起こった悲劇なのです。

アルゴリズムの功罪はまさにここにあり、いつのまにか知らずしらずのうちに世界を破壊するほどの魔力を得ていました。しかし近年では別の道で生かされようとしています。

ウォール・ストリートに集まって金融業界でがっぽり稼いでいたエンジニアが、やっとこさシリコンバレーに戻っていきました。そして何が起こったのかとういうと、フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、エアビーアンドビーなどが台頭するIT革命だったのです。

かつてウォール・ストリートに魅せられた優秀な人材は、今やシリコンバレーへと華々しく舞い戻り、起業家へと転身を遂げました。世界的に優秀なエンジニアが、本気で世界を変えるサービスを作り続けているからこそ、私達の住んでいる世界は一段と進化することができたのです。

優秀な人財は、次々と有用なアルゴリズムが生み出し、発展し、次なる技術へと結びついていきます。それが今の世の中の流れです。そして、いかにアルゴリズムが私たちの生活を侵食しているかの指標でもあります。

アルゴリズムが世界を作っている。

そう言っても過言ではないということ。私たちはいつの間にやら、アルゴリズムに支配されていました。そして何よりアルゴリズムがなければ生活が成り立たなくなってしまっていました。

それでは私たちはこれから、一体どこに向かっていくのだろうか?

 

アルゴリズムと私達

私たちは人知を超えた最も優秀で、素晴らしいものを作ってしまいました。

アルゴリズムの最終的な目標は思考だけでなく、脳の外部化であって、人間が普段から行なっていることを機会に行わせようというものです。なぜならアルゴリズムによって行われる繰り返しの作業は、私たちの想像を遥かに超えるほどの高速であり、ヒューマンエラーが起きにくいから、人間のしなくてはならない作業が格段に減ることになります。

ただの何気ない作業だけなら、わざわざ人間が出てきて行うほどでもないといういうことです。

人間の蓄積してきた知恵は、もっと他のところで使いなさいというのが、科学者の目標なのです。そしてその目標が、私たちの職業を奪うことになってしまう。俗にいう「仕事がなくなるランキング」ですね。

 

そして私たちは今の世界で、恐ろしいまでに高性能な存在である、黒魔術の子・アルゴリズムと戦う羽目になったのです。人間が生み出したもののために、人間が追われるなんて。どこかの映画みたいなストーリーですね。まったく嬉しくない。

 

という訳で、私たちは生き残るにはどうすればいいのか?

アルゴリズムを作る側に回れば良いというのが著者の言葉ですが、じつはアルゴリズムはそんなに単純なものではない。

数学的思考能力とプログラミングの技術、そしてそれらを統合して仕上げる忍耐力。プログラミングは誰でもできるって言われているけれど、じつはそんなに簡単なものでもないんですね。

私たちが取るべき生き残り戦略はズバリ「圧倒的な個性を持つ」か、「ビジネスを始める」こと。なぜなら単純な仕事の元では、私たちは120%アルゴリズムの行う仕事に勝つことができないから。

私たちは「プログラミングが”まだ”できない仕事をする必要がある」ということ。

 

機械が私たちの仕事を奪うまでには、まだ幾分かの時間がかかるでしょうから、むしろ今しかできないことです。

いってしまえば、「これからプログラミングの勉強を始める」のは悪くない選択だと思います。業界としてはまだ余裕がありそうな感じがしますし、なにより世界的なIT人材の不足は深刻化していますしね。

今、市場が成熟しきっていない間にIT業界に関わっておくのは、将来に向けた賢明な選択となるかもしれません。

むしろサービス業界に携わっている人の方が危ういと思う。これは少し考えれば分かることですけど。サービス業で生き残れるのは、「本気で人のために働きたい人」か「超人的な職人技で人をもてなせる人」だと思っています。

ほかは多分、ロボットに取って代わられると思う。近い将来に。

 

まとめ

別にまとめるほどのことではありません。本を読んで、ただ単に文章を書きたくなったから書いただけでした。ただこの文章を読んで感じてもらいたかったことは、“超ハイピードで進むIT化の波についていけない人は、この先ますます不利になっていくだろう”ということです。

ついこの前も、将棋のプロがアルゴリズムで作られたAIのソフトウェアに負けてしまいました。業界に携わる人間として少なくとも少しは嬉しく感じているのですが、それ以上に、深い危機感と途方もない不安を感じてます。

私たちは化け物級のマシンと戦わなくてはならない、というある種の絶望的な未来です。

太刀打ちするにもできそうにない、実に巨大な敵がいま私達の目の前に広がっているのですから。焦りと不安を隠し切ることなんてできません。

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HIRO

旅・音楽・プログラミング・ブログを愛するコンテンツ・クリエーター、ミニマリスト。ガジェット、海外ドラマ、旅行が好きで、趣味は読書。都内のIT企業でSEとして働いています。※このブログでの発言はすべて個人に帰属し、企業や団体とは一切関連がありません(PRを除く)。